タイランド・ドリーム更新(はるるの創作)


黄色い らんぷの
ちいさな 傘の下で
100gで 80円の
「夢」を 買いました

それから 毎日
朝が きて
お昼が きて
晩になりました

明日がやって来て
今日になり
昨日のほうへ
行きました

「夢」は アメダマみたいな
さらさらした 味がして
そうやって なめていると
いつも涙が出そうになりました

諸物価は
どんどん どんどん
値上がりして
「夢」の値段も上がったそうですが


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実は、タイトルと違ってこのイメージはカトマンズ郊外のたたずまい。
 
「古代都市バクタプール」

黄色い電球の明かりが、百メートルおきくらいに点いてます。
狭い石畳の坂道は、車も入って来られないので、明かりの輪から外れた闇が
とても深い。

カトマンズから、トロリーバスで一時間。
丘の上の古代都市が、灰褐色にくすんで見えてきます。
ここに泊まると、ほんとうに夜は静か。
ときおり、狂犬病の男が悪酔いして、階下で壁をたたいているくらい。
満月の光の下でも、冴え冴えとした星座の輝きは負けていない。
風は、いつしか止っている。

八年前、バクタプールに留まった時のこと。
今度は、もっと酔っ払って散歩しよう・・・。
中世そのままの暮らしとたたずまいは、郊外までしか車が入れない事が大き
い。

タイランド*2

夢はどこ?
-----夢はここよ。あたしの中よ。

夢はなに?
-----夢はなんでもないわ。ゆめだからよ。

夢はいつ?
-----夢はいつでもなのよ。ほんとうよ。

夢はだれ?
-----夢はだれでもないわ。だれでも、だからよ。

夢はすき?
-----夢はキライよ。ゆめだからよ。

タイランド*2

くらやみの中 手探りで飲む赤ワイン
どこまでもつづく列車の音
記憶の彼方で りんりん かがやく月光

そんなものたちが みんな
重い夜の底で わたしを抱いていても
あなたは どこにも居なかった

やがて しずかな朝
終着駅に 誰かが出迎える
わたしには ああ、何も見えないのに

タイランド*2

空に 一歩でも近づきたいと思った こどもは
お父さんに 肩ぐるまをしてもらいました
こどもは 両手をあげました

空に 一歩でもちかづきたいと思った むすめは
キイコ キイコの 錆びた観覧車に乗りました
むすめは 両手で風とあそびました

空に 一歩でも近づきたいと思った おとこは
パラシュートを着けて 飛行機から飛び出しました
おとこは 両手のつばさを水平にして しずかに落下するばかり

夢に 一歩でも近づきたいと思った 旅びとは
たくさんの町でたくさんの人に会い たくさんの夢を買いました
それなのに 夢は あちこちでバーゲンをやっていました


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